英雲荘(国指定史跡萩往還関連遺跡三田尻御茶屋旧構内)

英雲荘

多くの志士が集った幕末の歴史の舞台

三田尻御茶屋は、1654年(承応3年)萩藩2代藩主毛利綱広(もうりつなひろ)により、藩主の参勤交代や領内巡視の際の宿泊や休憩、迎賓の宿泊等のために建設された藩の公館です。7代藩主毛利重就(もうりしげたか)が隠居場として改築工事を行い、1783年(天明3年)に工事が完了し、「三田尻御殿」と呼ばれるようになりました。1941年(昭和16年)に、重就の法名にちなみ「英雲荘」と命名されました。
1789年(寛政元年)重就の死去の翌年以降「三田尻御殿」の名称が廃止され、多くの建物が解体されました。
1851年(嘉永4年)毛利敬親(もうりたかちか)により大規模な改修が行われ、現在の形に近くなりました。
幕末には京都の政変の難を逃れた三条実美(さんじょうさねとみ)などの七卿をはじめ、志士たちが出入りする歴史の舞台となりました。
1989年(平成元年)に萩往還の関連遺跡として国史跡に指定され、2011年(平成23年)から一般に公開されています。2021年(令和3年)に庭園の整備が完了し、江戸時代からうつろう「庭屋一如」の空間をお楽しみいただけます。

基本情報

見どころ

大観楼棟

英雲荘の主体となる建物で、二階建て檜皮葺屋根の外観に数寄屋風書院を設え、藩主が佇むにふさわしい風雅な趣きを伝えています。天明年間(1781~1788年)に建築され、現況は嘉永年間(1848~1853年)の改修当時に合わせて復元整備されています。

英雲荘大観楼棟外観
大観楼棟 外観
英雲荘大観楼棟御書院の間
大観楼棟 御書院の間(藩主や当主との対面の場として使われました。)
英雲荘大観楼棟杉戸
大観楼棟 杉戸
英雲荘奥座敷棟奥ノ間
奥座敷棟 奥ノ間

花月楼

川上不白(江戸表千家の祖)に師事し、茶道に造詣が深かった重就が設けた茶室です。
現在、英雲荘にある花月楼は、1786年(天明6年)、周防国分寺の境内に建てられた花月楼を、1888年(明治21年)に移築されたもので、当初の建物は松陰神社(萩市)に移築されています。

英雲荘花月楼外観
花月楼 外観
英雲荘花月楼八畳・上段ノ間
花月楼 八畳・上段ノ間

縁先手水鉢

大観楼の西方隅にある縁先手水鉢に水琴窟が設置されています。
水琴窟は、底に穴を開けた甕(かめ)を土中に伏せた状態で埋め、天井に導いた水滴が底にたまった水面に落下する音を甕内で反響させる仕組みです。滴水音を楽しむ風流な仕掛けになっています。

英雲荘縁先手水鉢
縁先手水鉢
英雲荘水琴窟
水琴窟
水琴窟の構造
水琴窟の構造

庭園

現在の庭園の原形は、天明年間(1781~1788年)の作庭とみられています。大正時代に改変されましたが、2011年(平成23年)から2021年(令和3年)に復元整備が行われました。現在は、江戸時代の建物と庭が一体となった「庭屋一如」の空間によみがえり、後年の要素も加わり「うつろい」を感じる歴史的な庭園となっています。

英雲荘庭園
庭園1
英雲荘庭園2
庭園2

詳細情報

入館料高校生以上310円、小中学生150円
団体(20名以上)高校生以上250円、小中学生 120円
・障害者手帳または療育手帳をお持ちの方と介助の方おひとりは無料
アクセス・JR防府駅からバス(協和前経由中浦行きまたは小田港行き)で約4分「三田尻病院前」下車、徒歩約2分
・山陽自動車道防府東IC・西ICから車で約15分

防府の中心部に位置する交通の拠点
防府の中心部に位置する交通の拠点
店内にはかわいい和小物がたくさん
店内にはかわいい和小物がたくさん